TECHNICAL / DOW THEORY
「上がりそう」を、
高値と安値で説明する。
ダウ理論は、相場の方向を整理するための考え方です。
まずは上昇・下降の見分け方から。
そのうえで、押し安値・戻り高値、転換の見方、時間足の違いを順番に学びましょう。
ダウ理論は、相場を見るためのコンパス
チャートを見て「上がっている気がする」と感じても、なぜそう判断したか説明できないことがあります。
そんなときに、高値と安値の関係を言葉にする基準が役立ちます。
私は以前から、ダウ理論を相場を見るためのコンパスに例えて説明してきました。
ただし、コンパスが進む方向を整理しても、途中の道がすべて分かるわけではありません。
トレンドの判定と、利益が出る売買の判断は分けて考えます。

実際のチャートでは大小の波が重なり、途中では判定しづらい場面もあります。
上昇は、高値も安値も切り上がる
ここでいう高値・安値は、選んだ時間足で認識する波の山と谷です。
前の高値を更新し、下がった後の安値も前より高い。
この組み合わせを確認して、上昇方向を整理します。
下降は、高値も安値も切り下がる
反対に、戻ったときの高値が前より低く、下がった先の安値も更新するなら下降方向です。
直近のローソク足が1本上がっただけで、全体の下降が終わったとは決めません。
そろわない場面は、無理に二択にしない
高値は更新したのに安値は切り下がった、山と谷が狭い範囲で重なる。
こうした場面では、レンジや移行中という整理もできます。
「今は判断を保留する」という結論も、立派な分析です。
ダウ理論の6つの原則を短く整理
ダウ理論は株式市場の分析から発展したもので、現在のFXで使う説明には応用や解釈が含まれます。
原則を学んだら、使う時間足と高値・安値の選び方を決めます。
- 価格に情報が反映される:市場にある情報が価格形成に織り込まれると考える。
- トレンドには長さの違いがある:主要な動き、その調整、短い変動を分けて見る。
- 主要トレンドには段階がある:形成初期から参加者が増え、終盤へ進む流れを考える。
- 複数の平均で確認する:元来の株価平均同士の確認であり、FXの通貨ペアへそのまま当てはめない。
- 出来高でも確認する:価格の動きと取引の活発さを照らし合わせる。
- 明確な転換まで継続を想定する:根拠なく天井・底を決めつけない。
基礎の参照:OANDA証券のダウ理論解説。
歴史的な株価平均・出来高の考え方:StockChartsのDow Theory解説。
FXの取引画面にある出来高が、為替市場全体の出来高とは限りません。
何を数えたデータなのかを確認し、株式市場の原則を形だけで当てはめないようにします。
押し安値・戻り高値と、トレンド転換
この記事で使う2つの基準
押し安値は、選んだ波で直近の高値更新につながった上昇の起点となる安値。
戻り高値は、直近の安値更新につながった下落の起点となる高値として扱います。
波の選び方や呼び方には流派による違いがあるため、同じ基準を継続して使うことを重視します。
上昇を見るときは押し安値、下降を見るときは戻り高値を一つの分岐点として記録します。
目の前の小さな高安を全部同じ重要度で扱うと、判断が振り回されやすくなります。
「継続の前提が崩れる」と「反対へ入る」は別
たとえば上昇を見ていた相場が押し安値を下回ったら、それまでの上昇継続という見立てを点検します。
ただし、それだけで長い下降トレンドが確定した、すぐ売ればよい、とまでは言えません。
戻って上昇を再開したり、レンジになったりすることもあります。
以前の記事では分岐点を越えた際の目線切り替えを強調しました。
実際の売買では、上昇の前提を見直す段階と、売りの根拠を作る段階を分けると判断を整理しやすくなります。
ヒゲか終値かは、判断する前に決める
一瞬のヒゲで越えた場合と、ローソク足の終値で越えた場合では結果が変わります。
チャートを後から見て都合よく基準を変えず、どちらで判定するか、どの時間足が確定するまで待つかを先に決めてください。
仮の数値で考える
山が100→104→108、谷が98→102→105と推移したなら、山も谷も切り上がっています。
ここで105を下回ったら上昇の見立てを点検しますが、その先の値動きはまだ分かりません。
日足は上昇、5分足は下降でも矛盾しない
「トレンドに順張りする」と言うときは、どの時間足のトレンドかを付けて説明しましょう。
長い上昇の途中に、短い下落が含まれることはあります。
長い時間足で場所を確認
大きな方向、直近の高安、現在価格がどのあたりにあるかを整理します。
短い時間足で変化を確認
大きな流れの中で、いまどのような調整や転換候補が見えるかを考えます。
これが複数時間足を組み合わせるMTF分析の入口です。
買いたいから上昇している時間足だけを選ぶ、という使い方は避けてください。
普段使う組み合わせを決め、判断が変わった理由も記録します。
実践で使う、チャート確認の順番
通貨ペアと時間足を固定する
まずは一つのチャートで確認します。
分析時刻と、確定済みのローソク足の範囲を記録してください。同じ大きさの波から山と谷を拾う
高値同士、安値同士を比べ、切り上げ・切り下げ・判断保留を書き込みます。
途中で極端に小さい波へ基準を変えないようにします。見立てが変わる条件を書く
どこを越えたら現在の見立てを点検するかを、言葉と線で残します。
「上がるはず」だけで終わらせません。実際に判断した時点を残し、後で振り返る
実取引で判断した時刻と、その時点のチャートを記録します。
予想が当たったかだけでなく、同じ基準で高安を選べたか、費用や損失の負担を意識して行動が変わったかを振り返ります。
取引に進む場合は、この分析に加えて損失額と取引量を決める必要があります。
許容損失からロットを考える資金管理の記事へ続けてください。
高値・安値が途中で入れ替わったときの記録例
分析が難しくなるのは、完成したチャートを見たときより、波がまだ動いている途中です。
そこで「現在の見立て」と「変更する条件」を分けて書きます。
線を引いた後に見立てを変えること自体が悪いのではなく、何を見て変えたかが残らないことが問題です。
架空の例として、1時間足で高値150.00→150.40、安値149.50→149.80と切り上がっていたとします。
この波を採用したなら、149.80をどの条件で下回ったら点検するのかを先に決めます。
5分足で一瞬下へ出たことと、1時間足の終値で下へ出たことは同じ情報ではありません。
記録は「9時に1時間足で上昇と整理」「149.80円を点検条件にした」「10時の足が確定した時点で見立てを再確認」のように、分析時刻と足の確定を分けます。
値動きが都合よく見えるまで、使う波や時間足を切り替えると振り返れなくなります。
基準を変える場合は「より大きな波を採用した理由」を書き、新しい基準を過去の判断にもともと使っていたかのように扱わないことです。
ダウ理論でよくある疑問
押し安値を割ったら必ず売るのですか?
必ず売るわけではありません。
上昇の前提を見直すことと、新しく売ることは別の判断です。
時間足や確定の基準、他の高安との位置関係も確認します。
