RISK MANAGEMENT / EXPERIENCE
「いくら勝つか」の前に、
「いくらまで失うか」。
私が取引を見直すきっかけになったのは、許容損失を口座資金の割合で決めたことでした。
感情で損切りを延ばしていた頃の経験から、損失額・損切り位置・ロットをどうつなぐかを説明します。
FXで勝てるようになったきっかけを振り返る
負け続けていた頃の私は、「5万円の含み損なら耐えられる」「10万円を超えたら厳しい」と、その場の感情で損失を考えていました。
買った理由が崩れても、反発する材料を探してしまう。
取引前に決めるべきことを、損失が出てから考えていたのです。
20代前半にスロットに熱中していた頃も、「今やめたら、使ったお金が無駄になる」と離れられなくなったことがありました。
FXでも似た判断を繰り返していると気付いたことが、資金管理を見直すきっかけになりました。
そこで、損切りする予定の金額を取引前に割合で決め、そこから取引量を逆算する方法へ変えました。
ここでは、その考え方を計算例とともに紹介します。
私の体験であり、同じ方法だけで誰でも利益が出るという話ではありません。
許容損失1%は、取引前の計画値
たとえば取引前の資金が100万円で、1回の許容損失を1%と置くなら、計画する損失額は1万円です。
資金が90万円になったら同じ1%は9,000円になります。
基本の計算
基準にする資金 × 許容する割合 = 計画損失額
100万円 × 1% = 1万円
1%はこの記事の説明例です。
損失が必ず1%以内に収まるわけではない
逆指値を置いていても、急変や流動性低下などで想定価格からずれて約定することがあります。
手数料・スプレッドなども含め、実際の損失が計画を超える可能性を残して考えます。
金融先物取引業協会の説明でも、ロスカットによって想定以上、場合によっては証拠金以上の損失が発生する点に注意を促しています。
自分の逆指値と、業者が行う強制ロスカットも別の仕組みです。
連敗すれば、少しずつでも資金は減る
毎回残っている資金の1%を失うと仮定すると、100万円で10連敗した後は約90万4,382円です。
割合で管理しても損失は発生します。
負けた後に割合を上げて取り返そうとしないこと、1日の停止条件を決めておくことも重要です。
ロットは、損切りの距離から逆算する

ドル円での計算例
説明のため、ドル円の1pipを0.01円、損切り幅を30pips=0.30円、計画損失額を1万円とします。
コストや価格のずれを除いた理論上の取引量は次のとおりです。
10,000円 ÷ 0.30円 = 約33,333通貨
仮に3万通貨で取引するなら、30pipsの値動きによる損失は9,000円です。
ここにコストや想定外のずれが加わる場合があります。
1ロット=10万通貨の口座なら3万通貨は0.30ロットです。
業者・商品で単位が違うので、注文画面の仕様を必ず確認してください。
同じロットでも、損切り幅が違えば損失が変わる
| ドル円3万通貨の場合 | 値動きによる損失 |
|---|---|
| 10pips(0.10円) | 3,000円 |
| 30pips(0.30円) | 9,000円 |
| 60pips(0.60円) | 18,000円 |
ロット固定が直ちに悪いということではありません。
大切なのは、その取引量でいくら失う可能性があるかを把握することです。
損切り幅が変わるのに取引量だけ同じにすると、損失額はそろいません。
円が決済通貨ではない通貨ペア、金・株価指数などは計算が異なります。
ドル円の式をそのまま使わず、契約サイズや損益計算の仕様を確認してください。
CMEの取引量管理の解説も、ストップ位置と許容損失から量を考える方法を説明しています。
RR比1:2だけで、プラス収支にはならない
リスクリワード比(RR比)は、計画する損失と利益の比率です。
1万円の損失に対して2万円の利益を狙うなら1:2です。
ただし、利益を狙う幅と、その利益を実際に取れる確率は別です。
勝率を入れると、結果が変わる
勝つと2万円、負けると1万円と単純化し、手数料などを除いて計算します。
| 仮の勝率 | 1回あたりの期待損益 |
|---|---|
| 40% | 0.4×20,000円 − 0.6×10,000円 = +2,000円 |
| 30% | 0.3×20,000円 − 0.7×10,000円 = −1,000円 |
同じRR比でも、勝率が違えば計算結果は変わります。
さらに実際にはコスト、早い利確、損切りのずれが加わります。
計画上のRR比と、履歴から求める平均利益・平均損失を分けて記録します。
期待値の計算は、将来の保証ではない
過去の検証で良い数字が出ても、将来の相場で同じ勝率が続くとは限りません。
FXは条件が変化するため、サイコロのように一定の確率を前提として「回数を増やせば必ず利益へ収束する」とは言えません。
資金管理は、取引の弱点を消してくれる万能な仕組みではありません。
実取引の分析・売買条件・コストの振り返りと組み合わせ、損失が続いたらいったん取引を止めて点検するためにも使います。
取引前に確認する5つのこと
売買の根拠を言葉にする
時間足、方向、注目する高安を書きます。
勢いだけで入りたくなっていないかも確認してください。見立てが崩れる位置を決める
損切り位置は売買ルールによって異なります。
押し安値・戻り高値は候補になりますが、すべての取引に機械的に当てはめるものではありません。
ダウ理論の基礎も参考にしてください。許容損失から量を計算する
口座の基準資金、割合、損切り幅、通貨・商品の仕様から計算します。
最小取引単位に合わない場合は、量を増やして無理に入るのではなく、見送る選択もあります。同時に持つリスクを合計する
1つずつは小さくても、複数のポジションを持てば合計損失は増えます。
同じ方向に動きやすい銘柄の重複と、1日の損失上限も確認します。約定後と決済後を記録する
計画と実際の取引量、損切り価格、手数料、損益、ルール逸脱を残します。
利益の出た取引でもルール違反があれば、次の改善点として扱います。
振り返り用の短いメモ
日時・銘柄・時間足:
売買の根拠/見送り条件:
計画損失額・損切り幅・取引量:
他のポジションを含むリスク:
実際の損益とコスト:
守れたこと/次に直すこと:
「1回の1%」と「同時に持つ合計」を混同しない

一つの取引を1%にしても、同時に3つ持てば同じ時点で複数の損失を負う可能性があります。
仮に基準資金が10万円、各取引の計画損失が1,000円なら、3つの合計は3,000円です。
個別には1%でも、合計では3%になります。
銘柄名が違っても、似た材料で同じ方向へ動くことがあります。
「分けて持っているから分散できた」と決めず、同時に損切りとなった場合の金額もメモします。
既にあるポジションを無視して、新しい注文だけで割合を計算しないことです。
最小数量の扱いも大切です。
計算上は2,500通貨まででも、口座が1,000通貨刻みなら、3,000通貨へ切り上げると予定した金額を超えます。
数量を小さくするか見送るかを考え、端数を合わせるために損失計画を広げないようにします。
私は実際にお金を負担する取引で、決めた損失を受け入れられたかを重視しています。
負けた後に数量を増やしたなら、計算式を覚えるだけでなく、増やした瞬間の理由も記録してください。
焦りに気付いた後の停止条件まで、自分で説明できるようにします。
計算を理解し、負担を決めて実践する
よくある質問
1%の基準は、残高ですか?必要証拠金ですか?
この記事では取引前に基準として定めた口座資金を使います。
注文に必要な証拠金の1%という意味ではありません。
含み損益があるときの扱いも先に決め、途中で都合よく基準を変えないようにしてください。
Fintokeiでも同じ1%なら問題ありませんか?
それだけでは判断できません。
プランごとの日次・全体の損失上限、取引アイデアや同時保有に関するリスク規則を別途守る必要があります。
Fintokeiの規則と全体の流れを確認してください。
